●江戸明治和本●初学文章并万躾方(寛永21年板)古版・稀書往来物
【判型】中本1冊。縦195粍。
【作者】不明。
【年代等】寛永21年3月刊。[京都]五郎左衛門板。
【備考】分類「往来物」。本書は寛永6年刊『初学文章抄』の改編版。最古の寛永11年板は、本文を大字・7行・所々付訓で記す(後に消息文以外は割注形式となった)。上巻の「初学文章」と下巻の「万民可嗜躾方(同絵図之事)」からなり、前者は『初学文章抄』3巻本の上・中巻、後者は同下巻に相当するが、異同も少なくない。特に目立つ変化は寛永6年板の中巻第9条「親、師匠、おやかたなとの留守之間によ所(そ)より状之来(きたる)時の事」など『初学文章抄』の中・下巻から合計16カ条を削除、また3カ所で2カ条を合併した結果、合計19カ条の減少となったが、逆に末尾に「くわしをくふべき事」など17カ条に及ぶ食礼を増補したため、最終的に実質89カ条となった。すなわち『初学文章抄』3巻の構成を書札礼とその他礼法の2部構成とし、特に下巻の礼法を「食礼」に重点を置いて大幅に改訂したものが本書である。以後、『初学文章』系の往来物はこの2部構成が主流となり、また、近世後期までに数多く出版された小笠原礼法書の基本スタイルにもなった。正保2年板あたりから絵入本(礼法部分)が登場したほか、内容の一部を削除して小字で綴った簡略版の『〈新板絵入〉初学しつけ方』等が江戸中期以降に出版されている。
★改装・題簽欠・状態並み(目録冒頭3丁欠(補コピー)、目録1丁破損、本文は概ね良好)。稀書(全国に所蔵数カ所(国文学研究資料館DB))。【参考価格(初出品時の相場です):日本の古本屋で、11,000円(江戸前期)~80,000(承応2年板)円/「新板初学文章・小笠原躾方」(寛文~延宝頃)が、55,000円】。